倭月愛々 過去ログ

 
2003/02/09 (日)

味噌部

長野県飯田市の市民セミナー食塾の味噌作りの会に特別に参加させてもらう。
南風食堂がいいだ発酵フェスティバルに参加した際に知り合ったのが縁とのこと。

会場は飯田インターから1分の飯田市伊賀良公民館(通称フォーラムイガラ)。
料理実習室という小学校の家庭科の時間を彷彿とさせる部屋。

食塾を主宰されている農園さくらの美沢さんから本日の説明を受ける。
食塾会員の方々がとってもいい感じで今日一日楽しく過ごせることを確信した瞬間。

我々が集合した9時にはすでに釜の火興しも終わっており薪割りがちょっと残っているだけ。
薪割りはじめての人が多く変わりばんこに薪割り体験。

前日から水にかしておいた大豆は水が沸騰する前にすでに膨らみはじめている。
沸騰して吹きこぼれるようになってからの火加減の調節が難しい。
なんども吹きこぼしてしまいびっくり水のお世話に。
煮え具合のチェックと称して何度も豆食べるが、芯があるウチから甘くて美味しい。
茹で上がりの直前には一帯に甘い香りが立ちこめて豆乳にして飲みたくなる。

シェフの作る鍋のためのストーブの準備。
小学校の時の石炭ストーブを思い出すと言ったら体験者はねぇさんだけだった。
僕は新宿の小学校だったんだけどなぁ。。

僕が釜の火当番をしている間に、お昼ごはんの準備が着々と進んでいます。
尾曽さんの指導のもと、五平餅を作っている。
二人がかりでつぶれたきりたんぽのようなカタチを作る。

型を利用して丸餅タイプも作っている。

ストーブの火興しが終わりスープを煮込みはじめる。
豆の煮込みも佳境に入り、オキを利用して出来上がった五平餅の素焼きをはじめる。

素焼きを終えた餅に味噌を塗りもう一度焼く。
味噌は胡桃を擦り込んだもの、紫蘇を擦り込んだものなどいろいろな味を用意。
春夏であればエゴマ、山椒などを使うと風味豊かで美味しいでしょう。

けっこうな量の五平餅が出来たので、急遽ブロックで即席コンロを作る。
豆も煮えたので、釜よりオキを全て下ろして大きな焼き場が出来る。
シェフが手に入れてきたアマゴも焼く。
飯田を山に入った沢の奥に日本中のアマゴの養殖地へ卵を提供している養殖場があり、そこで卵を取り終えたアマゴを譲り受けたとのこと。
ちょっとした山の観光地で食べるアマゴはこいつが親なんだね。

全て焼き上がり、午後の味噌造りに備えて腹ごしらえ。
食卓には五平餅(2タイプ)、スープ、アマゴに加え、尾曽さんがお作りになったお香々、梅干し、キムチなどが並びとっても贅沢な食卓。

美沢さんのトマト(甘いの甘ないの!)
以下、尾曽さんの手作り
干し柿の菓子2種(シナモン加えた白餡が秀逸!)
イカの味噌漬け
たくあん
キムチ
梅干し3種
梅の蜂蜜漬け2種

飯田は小梅の産地だそうで、確かに至るところで梅を見かけた。
尾曽さんより梅干しをはじめとして梅の様々な利用法を教えてもらう。

麹を米袋から明けて広げ、ほぐす。
あらかたほぐし終えると塩をまんべんなく撒いてよくかき混ぜる。
麹は酒蔵から分けてもらったものと言うことなので白麹ということになるのかな。。。

麹を両端に寄せ集める。
豆の到着を待つのみ。

とっても甘い香りを漂わせている豆を釜より掬う。
灰汁も味噌の風味となるので取り除かない。
皮も取り除かない。

ミンチャーに豆を入れ挽く。
ひと家庭分程度を作るような量が少ないときはすり鉢などで擦りつぶすと良いそうだ。

なかなか懐かしいスタイルのミンチャー。
モーターは東芝製。

挽かれた豆がニョロニョロと出てくる。
茹で上がったばかりの豆なのでかなり熱い。

挽いた豆を先程準備したテーブルに広げてほぐして人肌くらいになるまで冷ます。

ここからは全員で豆と麹をひたすら混ぜる。
水気が足りないときは豆の煮汁を適宜加える。
あとは、ひたすら混ぜる。

混ざり切ったら消毒した容器に出来上がった味噌種を空気を入れないようにこぶしで押し叩きながら慎重に詰めていく。
これがいちばんしんどい。
汗まみれになる。

仕込んだ味噌を頂き、後片付けを終え公民館を後にする。
向かいには南アルプス、後ろには木曽の山並みに囲まれて空気も水も最高でした。

農園さくらのページで少しでも感じていただければ幸いです。













そして温泉で汗を流す
味噌造りはほんとうに汗をかいたので、地元の人お奨めのいいだ温泉 湯里湖へ向かう。
えらい地味でくたびれた建物でびっくり。
露天風呂だけしかないのだが、冬は雪と寒さを凌ぐためビニールテントが張ってありせっかくの露天風呂の醍醐味は無し。
湯は入ったとたんにわかる名湯。
男風呂は左側に源泉が引き込まれているぬるめの湯があり、常連さんがそこに陣取っている。
湯の成分のせいだとおもうが垢が皮膚から浮いてくる。
そのため、源泉の湯の表面は垢だらけで潔癖性の人は絶対入れないでしょう。
飲用泉としても人気があるようで。ペットボトルで汲んで帰る人が多かった。飲んでみると硫黄臭さがあって最初は辛いが飲んでいくとはまっていく味。
松本から7軒の日帰り温泉をハシゴしてきたという温泉サークルの集団の人もここの湯がダントツに良いという。地元のおじさん達もココ以外の湯はぜんぜんダメだという。ひとしきりこの界隈の温泉情報を仕入れられた。




食塾の会員でもある屯(TAMURO)という大変素晴らしいお店に案内していただく。
脱サラして横須賀から移住された大将(結城先生風)と奥さんの二人で切り盛りされている。
テーブルや椅子も大将の手作りで座り心地もなかなかのもの。
伊那技術専門校で一から勉強したんだそうです。
看板メニューの黒大豆の豆腐が美味しい塩と良いハーモニー。
お刺身に出てきた九州のお醤油が甘くて大変美味でした。(もちろん刺身も)
鮪の串カツも甘くてソースで食しても素晴らしかったんですが、冷奴用に出てきたワサビで食べると爆発的に美味しかった。
締めのお蕎麦は大将の見かけとは違って大変上品なものでした。(個人的にはもうちょっと野趣ある蕎麦が好きですが)
お会計の金額聞いてびっくりでした。
知り合いということでたぶんサービスされてるのかもしれませんが、メニュー見てもこの値段で大丈夫ですかって聞いてしまいました。
さぁ、どうなんでしょうねぇ。丼勘定だからって笑っていらっしゃいましたが、、、
夜景も十分楽しめましたが夕暮れ時の南アルプスを是非見てみたいものです。

ごちそうさまでした。
必ず、また行きます。


この鉄製のストーブが僕の心をいたくくすぐりました。
鋳物ではなく溶接ってところがミソ。微妙なカタチといいボリューム感と良い、色味といいかなり来てしまった。。。

かき酢と塩イカ
帰り道のスーパーで屯での話に出てきた「塩イカ」を探す。
大きなコーナーを作って置いてあった。こっちではほんとうにポピュラーな食べ物なんですね。
イカを塩漬けにして半生(ほぼ生か?)状態で保存できるようにしたもの。
予想通り日本海が産地(福井、でもイカそのものは輸入)でだった。たぶん、昔は富山か糸魚川から街道で運ばれたものだと思う。

三原のお奨めのマルマンのかき酢も試しに買ってみる。これも大変美味しく、毎日飲んでます。もっと買って来たら良かったと後悔。

農園さくらの美沢さんへの御礼のメール(加筆修正)
美沢様
先日は楽しい集まりに参加させていただき有り難うございました。
今回はお客様してしまいましたが、次回からは準備からきっちり手伝わせていただきたいと思います。
美味しいものが食べたいという一心で、食文化そして気が付けば環境問題を意識するようになった邪道な人間ですが、フットワークとお喋りな口と猫の手が何かのお役に立てることができれば大変嬉しく思います。
さいきん、日本をいろいろと旅をしていて思うのは、東京と地方のギャップです。
東京に住む人の全てがそうではないですが、一部の人はちょっと高くても安全で美味しいものにお金払うこと、田舎での不便な暮らしや手つかず(にみえる)自然にお金を払うことを大変望んでいます。
命懸けのけものみちは嫌だけど、コンクリートで固められた無粋な道は勘弁して欲しい。自然を活かして安全のための手すりをつけたりするようなミニマムな改造が逆に手間ひまがかかるならそのためのちょっとした負担であれば喜んで払いたい。しょーもない土産物屋で駐車料金替わりに買わされる土産を考えれば安いもの。
こういう思いがじつは意外と地方の方々には届いていなくて、東京の人に対して何が自分たちの財産で売り物になるのかということに気付かれていなくてほんとうにびっくりさせられます。
自家用にとびきりの美味しいモノ作っているのですから、自信を持って我々に売って欲しい。
いま、こういう声をどんどん色々な土地に行って伝えていきたいと思っています。
スーパーで買うよりも2倍3倍しても、それが安全な食を得るための投資と考えれば安いモノ。しかもその投資は美味しいモノというカタチで還ってくる。ささやかな環境問題への協力。
自分はまだ力が無くて流通を変える力はないのですが、まずは声を届け、素敵な産物を買い、こういう素敵な産物をお作りになっている方々が居ることをアナウンスすることからはじめていこうと思っております。
もし、なにかお手伝いできる余地がございましたら是非お声を掛けていただきたいと思います。
モットーは「お声を掛けて頂ければ便所掃除から致します」です。

帰り道、三原と興奮して話し込み、休憩するのも忘れて運転しまい気が付いたら東京に着いてしまいました。
色々な刺激と気付きをさせてくれた一日でした。
ほんとうに有り難うございました。

脇本

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